こんにちは、「絵本ライフ」管理人の絵本ライフ編集長です。
『しろくまちゃんのほっとけーき』の作者を調べると、「わかやまけん」とだけ書かれているページもあれば、「わかやまけん・もりひさし・わだよしおみ」の3人が並んでいるページもあります。
「結局、作者は1人なの?3人なの?」「絵を描いた人と文章を書いた人は別?」「著者として書くなら誰の名前?」と迷いますよね。
結論から言うと、こぐま社の現在の商品ページで『しろくまちゃんのほっとけーき』の「作」として記載されているのは、わかやまけんさん・もりひさしさん・わだよしおみさんの3人です。
さらに、「こぐまちゃんえほん」シリーズそのものは、この3人にこぐま社創業者で編集者の佐藤英和さんを加えた4人による集団制作で生まれました。
つまり、「本の作者は3人」「シリーズを生み出した制作チームは4人」と分けると、かなりすっきりします。
この記事では、こぐま社や国立国会図書館などで確認できる情報をもとに、作者・著者の違い、それぞれの役割、出版社、出版年、初版の発行日、50周年、印刷方法まで詳しく見ていきます。
「学校や資料に作者名を書きたい」「古い本なので初版かどうか知りたい」「50周年は2020年と2022年のどちらなの?」という方にも分かるように整理しました。
- 『しろくまちゃんのほっとけーき』の作者・著者は誰なのか
- わかやまけん・もりひさし・わだよしおみの主な役割
- 編集者・佐藤英和を含む4人で制作した理由
- 出版社・出版年・初版・発行日の違い
- 2020年と2022年、2つの「50周年」の違い
- 6色印刷や言葉に込められた制作の工夫

先に答えをまとめると、『しろくまちゃんのほっとけーき』の出版社による作者表示は3人です。一方、「こぐまちゃんえほん」を生み出した制作チームは編集者を含めて4人。さらに、図書館の書誌ではわかやまけんさん1人を代表する著者として表示する資料もあります。
この3つを混ぜないことが、作者について調べるときの一番大事なポイントです。
『しろくまちゃんのほっとけーき』の作者・著者は3人
まず、「作者は誰なのか」という一番知りたいところから確認しましょう。
こぐま社の公式商品ページには、「わかやまけん 作」「もりひさし 作」「わだよしおみ 作」と3人の名前が並んでいます。
そのため、「しろくまちゃんのほっとけーきの作者は誰?」と聞かれたときは、わかやまけんさん・もりひさしさん・わだよしおみさんの3人と答えるのが、出版社の現在の表示に沿った答えです。
こぐま社『しろくまちゃんのほっとけーき』公式商品ページでも3人の「作」を確認できます。
「作者」「著者」「絵を描いた人」はどう答えればいい?
ここが少しややこしいところです。
「作者」と「著者」は日常ではほぼ同じ意味で使われることがありますが、絵本の場合は、「作」「文」「絵」など役割を分けて表示する本もあります。
ところが『しろくまちゃんのほっとけーき』では、現在のこぐま社商品ページが3人とも「作」としています。
そのため、学校の調べ学習などで「作者」を書くなら、出版社の表示に合わせて3人を書くのが分かりやすいでしょう。
一方、「絵を描いた人は誰?」という質問なら、こぐまちゃんの絵を中心に担当したわかやまけんさんと答えられます。
ただし、「わかやまけんさんは絵だけで、作品の作者ではない」という意味ではありません。公式商品ページでは、わかやまけんさんも含めて3人とも「作」です。
3人の役割を簡単に整理
こぐま社が紹介している「こぐまちゃんえほん」シリーズでの主な役割をまとめると、次のようになります。
| 名前 | 公式商品ページ | シリーズでの主な担当 |
|---|---|---|
| わかやまけん 若山 憲 | 作 | 絵、キャラクターの形や色、タイトル文字のデザイン |
| もりひさし 森 比左志 | 作 | 主にテーマ、原案、文章 |
| わだよしおみ 和田 義臣 | 作 | 主にストーリー展開 |
ここで「主に」としているのが大切です。
この3人が自分の担当部分だけを作り、最後に組み合わせたわけではありません。こぐま社によると、言葉選びからストーリー展開まで4人全員で意見を出し、全員が納得しなければ出版しないという集団制作でした。
ですから、「文章は完全にもりひさしさんだけ」「物語は完全にわだよしおみさんだけ」と線を引きすぎないほうが、この作品の作り方を正確に理解できます。
国立国会図書館では「わかやまけん 著」と表示されることもある
「でも、図書館のページには、わかやまけんさんしか書いていなかった」という方もいるでしょう。
実際、国立国会図書館のNDLサーチには、『しろくまちゃんのほっとけーき』について「わかやまけん 著」と表示される書誌があります。
一方で、NDLサーチ内でも、点字版など別の資料では森比左志さん・わだよしおみさん・若山憲さんの3人が著者として表示されています。
つまり、図書館検索で一人だけ表示されたからといって、「もともとわかやまけんさん一人で作った本」と判断するのは早いです。
国立国会図書館「NDLサーチ」では、資料ごとの書誌表示を確認できます。
作者について迷ったときは、「どのデータベースにどう登録されているか」だけではなく、出版社自身が現在どのように著者を表示しているかも一緒に見ると判断しやすいですよ。
作者は3人なのに「作り手は4人」と言われる理由
では、こぐま社が「こぐまちゃんシリーズの作り手は4人」と紹介しているのはなぜなのでしょうか。
3人の作者に加わる4人目が、こぐま社創業者で編集者の佐藤英和さんです。
佐藤さんは『しろくまちゃんのほっとけーき』の商品ページで「作」として並ぶ著者ではありません。しかし、「こぐまちゃんえほん」シリーズの企画と編集に深く関わった重要な作り手です。
こぐま社は、シリーズを作った4人を「画家」「歌人」「劇作家」「編集者」と紹介しています。
| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| 『しろくまちゃんのほっとけーき』の作者は? | わかやまけん・もりひさし・わだよしおみの3人 |
| 絵を中心に担当した人は? | わかやまけん |
| シリーズを作った制作チームは? | 3人+編集者・佐藤英和の4人 |
「作者が3人」と「作り手が4人」は矛盾しているのではなく、何を数えているかが違うわけです。

3人の作者と編集者・佐藤英和は何を担当した?
ここからは、4人がどのような背景を持ち、「こぐまちゃんえほん」の制作でどんな役割を担ったのかを見ていきます。
担当を知ると、絵、短い文章、ページの流れが偶然できたのではないことが分かってきます。
わかやまけん|絵・形・色・タイトル文字を担当
わかやまけんさんは、本名を若山憲といい、1930年に岐阜市で生まれました。2015年に亡くなっています。
グラフィックデザインの仕事を経て絵本制作へ進み、「こぐまちゃんえほん」では絵を担当しました。
「わかやま」という名前から和歌山県出身だと思うこともありますが、こぐま社も「和歌山県ではなく岐阜出身」と紹介しています。
若山さんの仕事は、完成した文章に絵を付けるだけではありません。
こぐまちゃんの形、色、衣服、目や口のデザインを考え、表紙に使われている独特のタイトル文字もデザインしました。打ち合わせでは、ほかのメンバーの目の前で何百枚ものラフを描いたとされています。
表紙だけを見ると、太い黒線で簡単に描かれているように感じるかもしれません。
ところが公式紹介によると、この線は太いペンで一気に描いたものではなく、極細のペンで2本の線を引き、その間を墨で塗っています。
シンプルだから簡単なのではなく、小さな子どもが見ても分かりやすい形になるまで整理されているんですね。
もりひさし|テーマ・原案・文章を担当
もりひさしさんは、本名を森久保仙太郎といい、1917年に神奈川県相模湖畔で生まれました。2018年に亡くなっています。
小学校教師をするなかで絵本に出会い、こぐま社の設立にも参加しました。絵本の創作だけでなく翻訳も手がけ、『はらぺこあおむし』の翻訳者として知っている方も多いかもしれません。
「こぐまちゃんえほん」では、主にテーマ、原案、文章を担当しました。
歌人でもあり、教師として子どもに接した経験もあったため、こぐま社は「耳に心地よく、美しい日本語の響き」にこだわった人として紹介しています。
『しろくまちゃんのほっとけーき』は、まだ文字を読めない子でも、何度も聞いているうちに音を覚えやすい文章になっています。
文章の意味だけでなく、声に出したときの長さやリズムも考えられていたと知ると、読み聞かせのときの印象も少し変わりますよ。
わだよしおみ|物語の展開を担当
わだよしおみさんは、本名を和田義臣といい、1913年に福井で生まれ、2006年に亡くなりました。
編集記者や劇作家などを経て、こぐま社の設立に参加。「こぐまちゃんえほん」では、主に物語のストーリー展開を担いました。
幼児向け絵本には、ページ数という大きな制約があります。
さらに、こぐま社の紹介によると、製本上の都合からクライマックスを本の真ん中へ置く必要がありました。その限られた条件のなかで、どこから始まり、どのように盛り上げ、どこで物語を落ち着かせるかを劇作家の視点から考えたのが和田さんです。
『しろくまちゃんのほっとけーき』でも、いきなりホットケーキが焼ける場面へ進むわけではありません。
材料を用意し、作り、焼けるのを待ち、友だちと食べ、その後の生活まで続いていきます。
幼い子どもの日常に近い出来事を、短いページの中できちんと一つの物語として感じられるのは、この構成があるからなのですね。
佐藤英和|主人公の発案とシリーズ全体の編集
佐藤英和さんは1928年生まれ、2022年没。1966年にこぐま社を創業した編集者です。
こぐま社公式では、自身のニックネームが「くまちゃん」だったこともあり、幼い子どもの最初の友だちとして身近な「くまのぬいぐるみ」を主人公にすることを発案したと紹介されています。
編集者というと、完成した文章を直したり、本の誤字を確認したりする仕事を思い浮かべるかもしれません。
しかし、このシリーズでは企画の段階から制作へ入り、誰に届ける絵本なのか、どのような内容なら幼い子どもが自分の生活として受け取れるかを、ほかの3人と一緒に考えていました。
3人の専門家を一冊の方向へまとめた4人目の作り手。そう考えると分かりやすいかなと思います。

◆絵本ライフ編集長のワンポイントアドバイス
子どもと読むときに、この作者情報を全部説明する必要はありません。「この絵を考えた人だけじゃなく、言葉やお話の流れを考えた人もいたんだよ」と一言話すだけでも十分です。一冊の本にいろいろな仕事が集まっていることを知るきっかけになりますよ。
4人の共同制作で『しろくまちゃんのほっとけーき』は生まれた
「作・絵」「文・絵」のように担当がはっきり分かれている絵本もあります。
それに対して「こぐまちゃんえほん」は、4人が同じ場で何度も案を出し合う集団制作でした。
4人全員が納得しなければ出版しなかった
こぐま社の誕生秘話では、言葉選びからストーリーの展開まで、4人全員が合格点を出さなければ出版しない制作方法だったと紹介されています。
若山さんがラフを描き、それを見ながら「この場面なら何と言うだろう」「この言葉で十分かな」と話し合う。文章が変われば絵も変わり、絵を見れば次の言葉が生まれる。その往復を重ねながら作られました。
画家が全部描き終えた後に文章を当てはめたわけでも、編集者が完成原稿を受け取っただけでもありません。
役割を分けながらも、作品の完成については全員で判断する。この点が「作者3人、制作チーム4人」という少し珍しい形につながっています。
幼稚園や動物園へ出かけて子どもの生活を見た
4人は机の上だけで子どもの姿を想像したわけでもありません。
こぐま社によると、幼稚園へ一日体験入園したり、動物園へ出かけたりしながら、幼い子どもの生活を作品へ取り入れていきました。
シリーズの題材も、朝ごはん、お風呂、買い物、ボール遊びなど、とても身近です。
派手な冒険を描かなくても、幼い子どもにとっては「自分もしたことがある」「自分もやってみたい」という日常そのものが大きな出来事です。
実際に七輪でホットケーキを焼いて音を確かめた
『しろくまちゃんのほっとけーき』の制作秘話のなかでも、とくに面白いのが、4人が実際にホットケーキを焼いたという話です。
こぐま社の公式紹介では、七輪を使ってホットケーキを焼きながらアイデアを出し、焼けていくときの音に気づいたことが、有名な擬音の場面につながったと説明されています。
つまり、あの場面は「ホットケーキならこんな音かな」と机上で想像しただけではありません。
生地を落としたとき、表面が変わるとき、焼けていくときの違いを実際に見て聞いて、それを幼い子にも伝わる言葉へ置き換えていったのです。
絵本は料理の手順書ではありませんが、作り手が実物を観察してから表現していることを知ると、短い言葉にもかなり手間がかかっていることが分かります。
作品のあらすじや、なぜ長く読まれているのかを先に知りたい方は、しろくまちゃんのほっとけーきのあらすじを簡単に解説!長く愛される理由とは?も参考にしてください。
作者・わかやまけんの絵を支えた6色印刷の秘密
『しろくまちゃんのほっとけーき』の表紙を見たとき、鮮やかなオレンジ色がまず目に入る方も多いでしょう。
作者について調べる記事なのに、なぜ印刷方法まで関係するのかと思うかもしれません。
実は、この印刷方法そのものが、わかやまけんさんの絵づくりと深く結びついています。
通常の4色印刷ではなく6色の版を使用
こぐまちゃんの絵は、リトグラフを応用した版画方式で作られています。
一般的なカラー印刷で使われることの多い4色ではなく、色ごとに分けた6色の版と、「こぐまちゃんインク」と呼ばれる特製インクを使用しています。
一枚のカラー原画をそのまま複製するのではなく、黒い輪郭線と、色を置くための版を別々に用意し、印刷によって完成した画面を作る方法です。
「どこを何色にするのか」まで印刷工程を考えながら絵を作る必要があるので、印刷所へ渡して終わりという単純な工程ではありません。
表紙やページの鮮やかな色も、作品を構成する大切な表現だったわけです。
「こぐまちゃんには原画がない」とはどういう意味?
こぐま社は、「こぐまちゃんには一般的な意味での原画がない」と説明しています。
これは、わかやまけんさんが絵を描いていないという意味ではありません。
完成したカラーの一枚絵が先にあり、それを印刷用に4色分解する一般的な方法とは違い、黒い輪郭線や各色の版になる絵をそれぞれ用意したからです。
完成したページを頭に思い描きながら、色ごとの要素を別々に作る。作品が印刷されて初めて、私たちが見慣れたこぐまちゃんの色になります。
展覧会などで「原画」「色版」「リトグラフ」という言葉を見かけたとき、この違いを知っていると展示内容も理解しやすくなります。
こけし・ポンチョ・ガラスの瞳がデザインのヒント
こぐまちゃんのシンプルな形にも、いくつか元になったものがあります。
こぐま社の紹介では、フォルムの原形は日本の「こけし」。服は流行に左右されにくいポンチョ型。目はテディベアなどのぬいぐるみに使われるガラスの瞳がモデルとされています。
口はきゅっと結んだ形で、感情を細かく描き込みすぎていません。
そのため、同じ表情でも、見る場面によって真剣に見えたり、少し困って見えたりすることがあります。
子どもが「笑ってる」「困ってる」と大人と違う受け取り方をしても、どちらかに直す必要はありません。表情を決めすぎないデザインだからこそ、見る人が感じ取れる余地が残っています。
また、表紙の題名の文字もわかやまけんさんのデザインです。
「絵を描いた人」とだけ覚えるより、キャラクターの形、色、線、表紙文字まで含めて本の見た目を作った人と考えると、仕事の広さがよく分かります。
出版社はこぐま社|出版年・発行年・初版も確認
作者と同じくらい検索されているのが、「出版社はどこ?」「出版年は何年?」「初版はいつ?」という基本情報です。
この部分は数字を混ぜると分かりにくくなるので、先に整理します。
| 確認したいこと | 答え |
|---|---|
| 出版社 | こぐま社 |
| 発行年・出版年 | 1972年 |
| 出版年月 | 1972年10月 |
| 初版第1刷の発行日 | 1972年10月15日 |
出版社は株式会社こぐま社
『しろくまちゃんのほっとけーき』の出版社は、株式会社こぐま社です。
こぐま社は1966年に佐藤英和さんが創業した児童書出版社で、「こぐまちゃんえほん」シリーズは1970年に始まりました。

『しろくまちゃんのほっとけーき』は、「こぐまちゃんえほん 第3集」の3冊セットにも含まれています。
同じセットに入るのは、『こぐまちゃん ありがとう』『しろくまちゃんのほっとけーき』『こぐまちゃんとふうせん』の3冊です。
単品で『しろくまちゃんのほっとけーき』だけを読んでも問題ありませんが、同じ3冊セットを並べて読むと、シリーズの色や生活場面の違いを比べる楽しみもあります。
通常版は22ページ・20×21cm
こぐま社の現在の商品ページで確認できる通常版は、22ページ、20×21cm、ISBNは978-4-7721-0031-1です。
年齢の目安は0歳から3歳ごろまでと案内されています。

価格は2026年8月に公式ページを確認した時点で990円(税込)ですが、価格や在庫は今後変更される可能性があります。購入するときは、こぐま社や販売店の最新表示を確認してください。
出版年・発行年は1972年
「しろくまちゃんのほっとけーきの出版年は?」と聞かれたら、1972年です。
こぐま社の商品ページでは「1972年発行」と案内されています。
国立国会図書館のNDLサーチでは、さらに細かく「1972年10月」と記録されています。
そのため、学校の課題などで「出版年」「発行年」だけを求められた場合は「1972年」、出版年月まで必要なら「1972年10月」と書くと分かりやすいでしょう。
初版第1刷の発行日は1972年10月15日
さらに詳しい「初版の発行日」も確認できます。
国立国会図書館のレファレンス協同データベースでは、国立国会図書館が所蔵している本を現物確認した回答が公開されており、1972年10月15日発行の第1刷(初版)と記録されています。
国立国会図書館「レファレンス協同データベース」で確認できます。
| 質問 | 答え方 | 根拠 |
|---|---|---|
| 出版社は? | こぐま社 | こぐま社公式・NDLサーチ |
| 出版年は? | 1972年 | こぐま社公式 |
| 発行年は? | 1972年 | こぐま社公式 |
| 出版年月は? | 1972年10月 | NDLサーチ |
| 初版第1刷の発行日は? | 1972年10月15日 | レファレンス協同DB |
自宅にある本が初版か調べるなら「奥付」を見る
古い『しろくまちゃんのほっとけーき』を持っていると、「これって初版なのかな?」と気になることもありますよね。
その場合は、表紙のデザインだけではなく、本の最後にある奥付を確認します。
「1972年10月15日 第1刷発行」と確認できれば、国立国会図書館が確認している初版第1刷の日付と一致します。
一方、「1972年10月15日 第1刷発行」と書かれていても、その下に別の年月で「第○刷発行」とある場合は、その本自体は後の刷です。
ロングセラー作品では、最初の発行日と手元の本が実際に刷られた日が両方載っていることがあります。「1972年と書いてあるから全部初版」というわけではないので注意してください。
初版と現在の本では一部の表現が異なる
初版について調べている方には、もう一つ面白い記録があります。
国立国会図書館のレファレンス事例では、1972年10月15日発行の第1刷を実際に確認し、現在よく知られている版とは異なる絵や表現が含まれていたことが記録されています。
たとえば、ホットケーキを焼く場面の一部や、最後のお皿を洗う場面について、初版にあった絵や言葉が確認されています。
ここでは作品本文を詳しく転載しませんが、長く重版されてきた絵本でも、時代の中で一部が見直されることがあると分かる資料です。
中古本や古書で「初版本」と表示されているものを購入するときも、販売タイトルだけで判断せず、奥付の写真や刷数を確認することをおすすめします。
「50周年」は2020年?2022年?違いを整理
『しろくまちゃんのほっとけーき』について調べていると、「50周年」という言葉もよく見かけます。
ここで、「1972年出版なのに、どうして2020年に50周年商品があるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
理由は簡単で、『しろくまちゃんのほっとけーき』単体と、「こぐまちゃんえほん」シリーズでは始まった年が違うからです。
シリーズの50周年は2020年
「こぐまちゃんえほん」シリーズが誕生したのは1970年です。
そのため、シリーズは2020年に誕生50周年を迎えました。
こぐま社の沿革でも、2020年に「こぐまちゃんえほん」シリーズが誕生50周年を迎えたことが記録されています。
「しろくまちゃんのほっとけーき 夢のふくふくセット」も、このこぐまちゃん誕生50周年を記念して作られた商品です。
そのため、この商品を見て「『しろくまちゃんのほっとけーき』そのものが2020年に50周年だった」と考えると、2年ずれてしまいます。
『しろくまちゃんのほっとけーき』刊行から50年は2022年
『しろくまちゃんのほっとけーき』の発行年は1972年です。
そこから50年後なので、本作の刊行から50年となるのは2022年です。
つまり、数字だけまとめると次のようになります。
| 周年 | 年 | 何の周年? |
|---|---|---|
| 50周年 | 2020年 | 「こぐまちゃんえほん」シリーズ誕生50周年 |
| 刊行から50年 | 2022年 | 『しろくまちゃんのほっとけーき』1972年発行から50年 |
| 55周年 | 2025年 | 「こぐまちゃんえほん」シリーズ誕生55周年 |
50周年の商品や記事を見るときは、「作品そのものの50周年」なのか「シリーズの50周年」なのかを確認すると迷いません。
2025年には、こぐま社も「こぐまちゃんえほん」シリーズ刊行55周年を案内しています。
半世紀以上読み継がれている作品であることは確かですが、「長く売れているから、すべての子が必ず好きになる」という意味ではありません。
子どもの興味は一人ずつ違います。評判だけで決めず、実際にページを見せたときにどこへ目を向けるかも大事にしたいですね。
作者を知ったあとに読み返すと見えてくる3つの工夫
作者や共同制作の背景を知っても、読み聞かせを難しく考える必要はありません。
次に読むとき、少しだけ絵と言葉の関係へ目を向けると、これまで何度も見ていたページが違って見えることがあります。
1.絵に書かれている情報を見てみる
文章を読み終わったあと、すぐ次のページへ進まず、絵の中を少し見てみてください。
本文では細かく説明していない道具の位置、しろくまちゃんの手元、次の行動へつながるものなど、絵だけで分かる情報があります。
こぐま社創業者の佐藤英和さんは、「絵がお話を語る絵本」を大切にしていました。
文字をまだ読めない子どもにとっては、大人が読む文章より先に、絵から物語を受け取っていることもあります。
子どもが本文とは関係なさそうな場所を指さしても、「今はそこを見るんだね」と少し待ってみると、思わぬ発見があるかもしれません。
2.短い言葉を声に出して味わう
もりひさしさんが大切にしたのは、耳で聞いたときの日本語の響きです。
文字数が少ないから単純なのではなく、幼い子が聞き取りやすく、繰り返し口にしたくなる言葉が選ばれています。
読み聞かせでは、一字一句をきれいに読もうと構えすぎなくても大丈夫です。
子どもが先に言葉を言いそうなら待つ。好きな音だけ一緒に繰り返す。そんな読み方でも楽しめます。
3.本の中央にある見せ場をゆっくり見る
わだよしおみさんがストーリー展開で意識したのが、本の中央にクライマックスを置く構成です。
『しろくまちゃんのほっとけーき』では、ホットケーキが少しずつ焼けていく見開きが、大きな見せ場になっています。
一気にリズミカルに読んでも楽しいですし、一つずつ絵の変化を見ながら間を取ってもかまいません。
作者たちが実際に焼いて音を観察したことを思い出しながら見ると、色や形が少しずつ変わっていることにも目が向きます。
何歳から読み始めるかや、年齢による反応が気になる方は、しろくまちゃんのほっとけーきはいつから?反応と離乳食の目安も参考にしてください。
作者を知って「手元に置きたい」と思ったら版を確認
作者や制作背景を知って、改めて本を手元に置きたいと思った方もいるでしょう。
通販で検索すると、通常版だけでなく、点字つきさわる絵本、セット商品、古本なども表示されます。
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどで購入するときは、値段だけではなく「どの版なのか」を確認すると間違いにくいですよ。
最初の一冊なら通常版が分かりやすい
普通に『しろくまちゃんのほっとけーき』を家庭で読みたいなら、20×21cm、22ページの通常版が基本です。
通販では、タイトルと一緒にISBN「978-4-7721-0031-1」を確認すると、通常版を見分けやすくなります。
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでは、本体価格が同じでも送料やポイント、発送日が違うことがあります。
とくにプレゼントの場合は、数十円の違いより「必要な日までに届くか」のほうが大切なこともあります。購入直前の表示を確認してください。
通販ごとの価格や送料の見方は、しろくまちゃんのほっとけーきはどこで買う?価格と通販を比較で詳しくまとめています。
点字つきさわる絵本は通常版とは別商品
通販検索では、「てんじつきさわるえほん しろくまちゃんのほっとけーき」が表示されることもあります。
作品は同じですが、通常版とは形態や価格が異なる商品です。
「安いほうを選んだら思っていた版ではなかった」とならないよう、商品名、ISBN、サイズ、内容を確認して選びましょう。
通常版・ミニ版・点字版などの違いは、しろくまちゃんのほっとけーき種類比較!通常版・ミニ・点字版で詳しく紹介しています。
同じ第3集の3冊をまとめて読む方法もある
『しろくまちゃんのほっとけーき』だけを読みたいなら、もちろん単品で十分です。
同じ第3集の『こぐまちゃん ありがとう』『こぐまちゃんとふうせん』も一緒に読みたい家庭には、3冊セットがあります。
シリーズを幅広く読みたい場合には全15冊セットもあります。
ただし、最初から15冊そろえる必要はありません。
子どもがどんな話に興味を持つか分からない場合は、まず『しろくまちゃんのほっとけーき』を一冊読んで、反応を見てから増やす方法もあります。
セットは一度に収納場所も必要になります。贈り物なら、相手がすでに持っているシリーズがないか確認しておくと安心ですよ。
絵本の定期便は「特定の一冊を買う方法」とは別
『しろくまちゃんのほっとけーき』を確実に読みたいなら、単品購入が一番分かりやすい方法です。
一方、「この本だけでなく、年齢に合ういろいろな絵本と出会いたい」という家庭なら、絵本の定期便を利用する選択肢もあります。

ただし、定期便では『しろくまちゃんのほっとけーき』が必ず届くとは限りません。
サービスによって、購入して所有する形式なのか、一定期間借りる形式なのかも違います。
料金、解約条件、選書方法、重複した本が届いた場合の対応などを公式サイトで確認し、家庭に合うものを選んでください。
「お気に入りの一冊は購入して手元に置き、それ以外は図書館や定期便で出会う」という使い分けもできます。
『しろくまちゃんのほっとけーき』作者・出版社のよくある質問
最後に、作者、著者、出版社、出版年、初版、50周年について迷いやすいところをまとめます。
Q1. しろくまちゃんのほっとけーきの作者は誰ですか?
A. こぐま社の現在の商品ページでは、わかやまけんさん、もりひさしさん、わだよしおみさんの3人が「作」として記載されています。
Q2. 絵を描いた人は誰ですか?
A. 絵を中心に担当したのは、わかやまけん(若山憲)さんです。キャラクターの形や色、タイトル文字のデザインにも関わっています。ただし、公式商品ページではわかやまけんさんも含め3人とも「作」と表記されています。
Q3. 作者が4人と紹介されることがあるのはなぜですか?
A. 3人の作者に、こぐま社創業者で編集者の佐藤英和さんを加えた4人で「こぐまちゃんえほん」シリーズを集団制作したためです。本作の公式な「作」は3人、シリーズの制作チームは4人と分けると分かりやすいです。
Q4. わかやまけんさんだけが著者と書かれているのはなぜですか?
A. 国立国会図書館などの一部の書誌では「わかやまけん 著」と表示される資料があります。一方、こぐま社の商品ページは3人を「作」としています。書誌データの表示と出版社の商品上の著者表示を分けて確認するとよいでしょう。
Q5. しろくまちゃんのほっとけーきの出版社はどこですか?
A. 出版社は株式会社こぐま社です。こぐま社は1966年に創業した児童書出版社です。
Q6. 出版年・発行年は何年ですか?
A. 1972年です。こぐま社は1972年発行、国立国会図書館のNDLサーチでは出版年月を1972年10月としています。
Q7. 初版の発行日はいつですか?
A. 国立国会図書館のレファレンス協同データベースで確認された初版第1刷は、1972年10月15日発行です。手元の本が初版か確認したい場合は、巻末の奥付にある刷数も確認してください。
Q8. 50周年は2020年ですか?2022年ですか?
A. どちらも基準が違います。「こぐまちゃんえほん」シリーズは1970年に始まったためシリーズ誕生50周年は2020年です。『しろくまちゃんのほっとけーき』自体は1972年発行なので、刊行から50年となるのは2022年です。
Q9. 2025年の55周年は何の55周年ですか?
A. 1970年に始まった「こぐまちゃんえほん」シリーズの刊行55周年です。『しろくまちゃんのほっとけーき』単体の発行年は1972年なので、作品単体の年数とは2年ずれます。
作者・出版社・初版を知ると『しろくまちゃんのほっとけーき』がもっと面白い
『しろくまちゃんのほっとけーき』は、わかやまけんさん一人だけで作られた作品ではありません。
こぐま社が現在「作」として記載しているのは、わかやまけんさん、もりひさしさん、わだよしおみさんの3人です。
そして、「こぐまちゃんえほん」というシリーズを生み出した集団制作には、編集者の佐藤英和さんも加わっていました。
- 公式商品ページの作者表示は、わかやまけん・もりひさし・わだよしおみの3人
- わかやまけんは主に絵、形、色、タイトル文字を担当
- もりひさしは主にテーマ、原案、文章を担当
- わだよしおみは主にストーリー展開を担当
- 佐藤英和は主人公の発案と編集を担当
- 出版社はこぐま社、発行年は1972年
- 出版年月は1972年10月、初版第1刷は1972年10月15日発行
- シリーズ50周年は2020年、本作刊行から50年は2022年
4人は、幼い子どもの生活を観察し、実際にホットケーキを焼き、言葉や絵、ページの流れを何度も話し合いました。
さらに、わかやまけんさんの絵は、6色の版と専用インクを使う印刷方法まで含めて作られています。
一見すると、とてもシンプルな絵本です。
でも、そのシンプルさの裏には、絵を考える人、言葉を磨く人、物語の流れを見る人、一冊の方向をまとめる編集者の仕事が重なっています。

◆絵本ライフ編集長のワンポイントアドバイス
作者の背景を知ったら、次に読むときは全部を分析しようとせず、好きなページを一つだけゆっくり見てみてください。絵の線を見ても、言葉の響きを聞いても、ページの流れを追っても大丈夫です。
「この言葉はどんなふうに決めたのかな」「この色は6色の版のどれかな」と少し想像するだけでも、何度も読んだ一冊に新しい発見があります。
そして、まだ『しろくまちゃんのほっとけーき』を持っていない場合は、通常版・点字版・セットなどを確認し、あなたの家庭で一番読みやすい形を選んでみてください。お気に入りの一冊になれば、作者たちが半世紀以上前に作った絵と言葉を、今度はあなたの家庭で何度も楽しめますよ。
