0歳児発表会のいないいないばあを徹底解説!ねらいと実践

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0歳児クラスの発表会で、「いないいないばあ」をすると聞くと、「え、それだけ?」と驚かれるかもしれませんね。または、人見知りや場所見知りが出てきた時期に、大勢の前で泣かないか心配になる保護者の方も多いかなと思います。

当日のプログラムや、簡単な衣装、BGMで使う曲はどうなるのか、そもそも「練習なし」で大丈夫なのか、気になることもたくさんあるでしょう。

- 保育室で、保育士が複数の0歳児の赤ちゃんと保護者の前で、黄色いシフォン布を使って「いないいないばあ」の遊びを披露している様子。赤ちゃんたちは楽しそうに笑い、保護者たちはスマートフォンでその様子を撮影している。
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実は、0歳児の発表会における「いないいないばあ」には、子どもたちの発達にとって、とても大切な「ねらい」が隠されています。この記事では、その深い理由から、当日の具体的な流れ、保育士さんがどのような視点で見ているかまで、詳しく解説していきますね。

この記事でわかること
  • 0歳児の発表会で「いないいないばあ」が選ばれる理由
  • 泣いても大丈夫!0歳児の発達と成長の証
  • 「練習なし」で成功する当日のプログラム例
  • 衣装やBGM、保護者対応の具体的なヒント
目次

0歳児の発表会でいないいないばあをするねらい

なぜ0歳児の発表会で「いないいないばあ」が定番なのでしょうか。一見シンプルすぎるようにも思えますが、実はこの月齢の子どもたちにとって、最も重要で本質的な「発達のねらい」が凝縮されているんです。ここでは、その深い理由と、当日の子どもの姿をどう見守るべきかについて解説しますね。

いないいないばあの発達的なねらいとは

「いないいないばあ」が0歳児の発表会のテーマとして最適なのは、この遊びが「脳(認知)」と「心(情緒)」の成長に欠かせない2つの要素を、同時に育んでくれるからなんです。

ひとつは、「物の永続性」という認知発達です。これは、「自分の視界から物が消えても、それは存在し続けている」と理解する力のことですね。生後半年くらいから、この力がぐんぐん育ちます。

「いないいない(=顔が消える)」から「ばあ(=顔が再登場する)」の流れは、「見えなくても、そこにあるぞ」と予測し、「やっぱりあった!」と確認する最高のトレーニングです。この「予測→確認→喜び」のサイクルが、赤ちゃんの「次を見通す賢さ」を育てます。

もうひとつは、「愛着形成」という情緒発達です。これは、特定の大人(保護者や保育士さん)との間に築かれる情緒的な絆のこと。赤ちゃんの「心の安全基地」になる、とっても大切なものです。

「いないいない」で大好きな人の顔が消える一瞬の不安。「ばあ!」で再会できる大きな安心。この「不安→安心」のサイクルを安全に繰り返すことで、「この人は消えても必ず戻ってくる、信頼できる存在だ」という確信が深まります。これこそが「心の安全基地」を作る活動そのものなんですね。

「いないいないばあ」2つの大きなねらい

- 明るい保育室で、若い女性の保育士がオレンジ色の布を使い、座っている赤ちゃんと「いないいないばあ」をしている。赤ちゃんは満面の笑みを浮かべ、両手を広げて喜んでいる。
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  • 認知発達(物の永続性):見えなくても「そこにある」と理解し、「次」を予測する賢さを育む。
  • 情緒発達(愛着形成):「消える不安」と「再会する安心」を繰り返し、大人への信頼感(心の安全基地)を育む。

本番で泣くのは順調な成長の証

発表会当日、いつもと違う雰囲気や大勢の保護者に圧倒されて、泣いてしまう子、固まってしまう子は少なくありません。「うちの子だけ泣いててどうしよう…」と不安になるかもしれませんが、心配は無用です。

実は、0歳児にとって本番で「泣く」ことは、失敗でも何でもなく、むしろ「順調な成長の証」なんです。

これは「人見知り」や「場所見知り」と呼ばれる、正常な発達プロセスです。知らない人やいつもと違う雰囲気を警戒し、特定の安心できる大人(保護者や担任の先生)を求める姿は、特定の大人との「愛着形成」がしっかり進んでいる証拠なんですね。

つまり、泣いている姿こそが皮肉にも「この1年で、先生やお父さんお母さんとの信頼関係がしっかり築けました!」という、0歳児保育の最大の「成果」を発表していることになります。

「泣く」は「成長」のサイン

- 保育園の発表会で、母親らしき女性に抱かれた赤ちゃんが泣いている。隣の保育士は笑顔で赤ちゃんを指差し、保護者たちに何かを説明している。
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当日子どもが泣いてしまっても、それは「特定の大人を認識し、信頼している」という素晴らしい成長の証です。失敗ではありませんので、温かく見守ってあげてくださいね。

練習なしで日常の遊びを見せる重要性

- 保育士が黄色い布を使って赤ちゃんたちと「いないいないばあ」の遊びをしている。赤ちゃんたちは床に座って楽しそうに笑い、手を叩いている。後方には、スマートフォンで撮影する保護者たちが座っている。
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0歳児クラスの発表会で最も大切なのは、「練習をしない」ことです。3歳児以上のように「成果」を発表するのではなく、あくまで「日常の遊びの延長」を見せることが目的だからです。

0歳児に「練習」を課すことは、時に大きなストレスになります。成功の鍵は「練習」ではなく、「導入」にあります。

どういうことかと言うと、本番で使う予定のBGM(歌)や、段ボールトンネル、布などの小道具を、本番の数週間前から「普段の遊び」の中に自然に取り入れておくんです。

本番という非日常の空間でも、「いつもの歌」「いつもの遊び」「いつもの先生」という「日常」の要素があることで、子どもは安心して、「いつもの遊びの延長」としてリラックスして参加できます。これが、0歳児のありのままの姿を引き出す秘訣なんですね。

事前に保護者へ伝えたい保育の視点

保育士さんたちは、当日ただ子どもたちを動かす「監督」ではなく、子どもたちの一つひとつの行動の意味を伝える「解説者」の役割を担っています。

例えば、大勢の人を前に固まって動かない子がいた場合、保護者は不安になるかもしれません。そこで保育士さんが「〇〇くん、大勢の人がいてびっくりしていますが、これは『人見知り』という、お父さんお母さんとの愛着がしっかり育っている証拠ですよ」と解説してくれます。

また、トンネルの前で止まっている子がいれば、「△△ちゃん、今トンネルの中をじっと見て『安全かな?』と考えています。これは『見通す力』(=予測する賢さ)が育っている証拠です」といった具合です。

こうした専門的な視点を、事前に「おたより」などで保護者と共有しておくことが、発表会を成功に導く鍵となります。保護者が「成果」ではなく「成長のプロセス」を楽しむ視点を持つことで、会場全体の雰囲気がとても温かくなります。

保護者が見たいのは、完成された演技ではなく、「家庭では見られない園での安心した姿」や「成長のプロセス」です。保育士さんの「ポジティブな解説」が、その理解を助けてくれます。

0歳児の発表会でいないいないばあを行う実践内容

ねらいが分かったところで、次は「じゃあ具体的に何をするの?」という実践編です。とはいえ、難しいことはありません。月齢に合わせた活動のアイデアや、場を盛り上げるBGM、簡単な小道具について、すぐに真似できるヒントを集めてみました。

- 保育室で、保育士が複数の0歳児の赤ちゃんと保護者と一緒に手遊びを楽しんでいる。赤ちゃんたちは床に座って手を叩き、保護者たちは赤ちゃんを抱きながら笑顔で参加している
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導入に使える絵本や楽しい手遊び

いきなり活動を始めるより、まずは子どもたちの気持ちを引きつける「導入」が大切です。ここで活躍するのが、絵本や手遊びですね。

「いないいないばあ」がテーマなら、やはり鉄板の絵本『いないいないばあ』(松谷みよ子作)や、仕掛けが楽しい『だるまさんが』(かがくいひろし作)などを、保育士さんがゆっくりと読んであげるのが効果的です。

また、手遊びも緊張をほぐすのにぴったりです。「ぐるぐるどっか〜ん!」や「とんとんトマトちゃん」「ラララぞうきん」のような、保育士さんとのスキンシップも楽しめるものがおすすめです。親子で一緒にできる簡単な手遊びをオープニングに取り入れる園も多いですね。

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雰囲気を盛り上げる曲とBGM選曲

0歳児にとって「音」はとても重要です。特に、聞き慣れた曲は「これから楽しいことが始まる」という安心の合図になります。

Eテレの『いないいないばあっ!』関連の楽曲は、まさに最強のBGMと言えるでしょう。子どもたちが「あ、いつもの遊びだ」とリラックスできる選曲がポイントです。

おすすめBGMメドレー(展開例)

タイミング曲名例ポイント
導入・登場「にっこりほっこり」穏やかな曲で場を温めます。
オープニング(手遊び)「ぐるぐるどっか〜ん!」
「わ〜お!」
一気に「遊びモード」へ切り替えます。
メイン活動(PAB)「ピカピカブー」
「ポポポポポーズ」
アップテンポで動きを促します。
親子インタラクション「とんとんトマトちゃん」
「サンキュ!ワンワン399」
親子でのスキンシップタイムに。
エンディング「せかいのどこかでおめでとう」成長を祝い、感動的な雰囲気で締めます。

簡単な手作り衣装と小道具のアイデア

衣装や小道具も、0歳児にとっては「快適さ」と「安全性」が最優先です。

衣装

凝った衣装は動きにくく、子どもの不快感につながりがちです。推奨されるのは、普段着の上に「お揃いの動物の耳カチューシャ」や「キャラクターのワッペン」をつける程度です。これなら準備の負担も少なく、子どものストレスも最小限ですね。

安全への配慮

ワッペンなどを付ける際は、安全ピンの使用は絶対に避けてください。万が一外れた場合に誤飲の危険があります。必ず縫い付けるか、安全な方法で固定しましょう。

小道具

小道具は、第3章で触れた月齢別の活動に合わせて準備します。

  • 段ボールトンネル(はいはいの子がくぐって「ばあ!」)
  • すずらんテープのカーテン(くぐって「ばあ!」)
  • 大きなシフォン布(全員でかくれんぼしたり、保育士さんが被って「ばあ!」)

これらはすべて「安全」であると同時に、「はっきりした色」や「様々な手触り」で赤ちゃんの五感を刺激するものであることが重要です。

- 保育園の室内で、保護者が見守る中、複数の赤ちゃんが活動を楽しんでいる。一人の赤ちゃんは色鮮やかな飾り付けがされた段ボールトンネルから笑顔で顔を出し、別の赤ちゃんは虹色のリボンと水色の布で作られたカーテンをくぐろうとしている。
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そのまま使える具体的な台本プログラム

ここでは、当日の流れをイメージした簡単な台本(プログラム)例をご紹介します。保育士さんの「ナレーション(解説)」が鍵になります。

0歳児「いないいないばあ」発表会プログラム例

  1. 導入・登場(BGM: 「にっこりほっこり」) (ナレーション例)「みなさん、こんにちは。今日は〇〇組(0歳児)さんの『あそびの会』へようこそ。いつものお部屋とは違う雰囲気に、少しドキドキしているお友達もいますね。」
  2. オープニング:手遊び(BGM: 「ぐるぐるどっか〜ん!」) 保育士さんと一緒に、親子で簡単な手遊び。「いつもの遊び」で緊張をほぐします。
  3. メイン:月齢別いないいないばあ(BGM: 「ピカピカブー」) (ねんね・おすわり期)保育士さんがシフォン布を使って「ばあ!」(ナレーション例)「〇〇ちゃん、布の動きをしっかり目で追っていますね。次に何が起こるか予測する力が育っていますよ。」 (はいはい・つかまり立ち期)段ボールトンネルやすずらんテープのカーテンくぐり。(ナレーション例)「△△くん、トンネルの前で止まりました。今、中をじっと見て安全か考えています。素晴らしい『見通す力』ですね。」
  4. 親子インタラクション(BGM: 「とんとんトマトちゃん」) 保護者のところへ行き、親子で「いないいないばあ」やスキンシップ遊びを楽しみます。
  5. エンディング(BGM: 「せかいのどこかでおめでとう」) (ナレーション例)「この1年で、こんなにも世界を理解し、人を信頼できるようになった子どもたちに、大きな拍手をお願いします。」

安心して過ごせる環境構成のポイント

当日のプログラムと同じくらい大切なのが、子どもたちが安心して過ごせる「環境構成」です。

ポイントは、「保護者の席を可能な限り近くに配置する」ことです。大好きなお父さんお母さんの顔が見えるだけで、子どもの安心感は格段に上がります。

また、活動エリアは全面マット敷きにし、角のあるものや危険なものは徹底的に排除します。ハイハイやつかまり立ちをしても絶対に安全な空間を作ることが大前提ですね。

会場には、普段から遊び慣れている段ボールトンネルやシフォン布などを「いつものおもちゃ」として配置し、子どもが「ここは安全で、いつもの遊び場だ」と感じられるように配慮することも大切です。

0歳児の発表会はいないいないばあで成長を共有

- 0歳児の発表会で、保育士が泣いている赤ちゃんを優しく抱きしめながら、他の楽しそうに拍手をする赤ちゃんたちと保護者たちの前にいる。保護者たちは笑顔で拍手をしたり、スマートフォンで写真を撮ったりしている。
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最後に、0歳児の発表会と「いないいないばあ」について、大切なことをまとめますね。

0歳児の発表会は、「成果」を披露する場ではありません。この1年間で子どもたちが保育士さんや保護者と築いてきた「愛着形成(信頼関係)」と、世界を理解し始めた「認知発達(物の永続性)」という、保育の「集大成」を保護者と「共有」する場です。

「いないいないばあ」は、その最も本質的な活動を、ありのままの姿で見てもらうための最高のテーマなんですね。

当日、お子さんが泣いていても、固まっていても、元気にハイハイしていても、そのすべてが「その子なりの100点満点の姿」です。ぜひ、温かいまなざしで、お子さんの「今だけの瞬間」を見守ってあげてください。

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